2015年12月11日金曜日

予算作成の順序

「整備の熟度」、つまり住民の協力が得られるか否かを事業実施の条件にかかげたことは、最終的には公共事業について住民が切り札を握るとトうことを県が認めたということである。公共事業を住民が左右できる。これは、計画から実施場所、時期、費用、そして談合、業者まですべてを「官」が決めてきた従来の公共事業システムからみれば画期的な改革だ。

「官権」から「民権」への流れが、あの岩手県でおきていることに、注目したい。現に、一九九九年度の県予算の作成にあたって、国の補助金がっく事業でも、県の負担や便益、つまり費用対効果などを考えて、見送られるものも出ているという。

ようやく国も政策評価は自治体だけでなく、国にも広がろうとしている。橋本総理大臣が北海道の「時のアセスメント」を採用した(パクッた)のはその一つである。しかし国がなぜ政策評価をするようになったかを調べると、それは単に流行といった一過性のものではなく、旧来型のいわゆる御役所仕事を改めるために、不可避的だとトうことが分かってくる。

日本の行政の特徴として、国、自治体の問題点は、入り口は慎重だが、出口は放任という実態を指摘できる。たとえば、予算を考えてみよう。予算作成の順序は次の通りだ。はじめに、政府が全体的なガイドラインを決める。それにもとづいて、①各省庁が自治体や業界などからの陳情を受ける、②各省庁の案の作成、③大蔵省の査定、④査定に対する各省庁などの復活折衝、そして⑤各省大臣の政治的調整を経て、⑥閣議決定し、⑦国会に提出される。予算書をみると膨大なもので、ぎっしり数字がつまってトる。しかも一円の誤りもない。各省庁の担当官は、この数字のもとになった政策について、それこそ何十時間も語り続けることのできる資料を持っている。

国会での審議にそなえて、政府委員となった官僚はあらゆる質問などに答えられるように入念に準備する。法律を制定する場合も同じだ。各省庁内部での根回し、審議会、そして与党との調整を経て、国会に提出される。重要法案になると、法案は議員だけではなく、マスコミなどを通じて国民にも知らされる。国会は、これらを十分か否かを別にして、審議し採決する。