2015年9月11日金曜日

都市における気候環境の特性

降水量のほとんどは雨だが、降り積もった雪は、春から夏にかけ、雪溶け水となって山間部の土壌を潤す。このことが、じつは日本が世界でも有数の緑ゆたかな森林国となっているゆえんでもある。

日本は″山の国″である。地形図をよく眺めたことのある人なら誰でも知っているように、北から南にかけて縦断する山また山。二千メートル・三千メートル級の山が陸続として連なっている。その合間を縫うように、海へとつづく平野部もしくは湾岸・沿岸にそうかたちで点々と都市居住地帯が展開されている。日本列島の約七三%は山なのである。

このように山が多いということに加え、強い季節風と多雨によって、地形の基質をかたちづくっている土壌が浸食され、無数の網の目のような水系が国土を覆う。ちなみに、日本が長い歴史を通じて独特の農耕文化を培ってきたのも、こうした自然環境の特色に負っているということになろう。

以上、三つの際立った特徴のほか、多くの活火山・休火山をふくむ火山帯が存在し、たとえば雲仙・普賢岳のように突如として地域住民の生活をおびやかし、あるいは強度の地震による津波が沿岸の市町村を襲うこともけっして稀ではない。さらには、寒流と暖流とが日本列島を取り巻くように押し寄せ、気候や植生などの自然環境に影響を及ぼすといった点も見逃せないが、ここではこれ以上、立ち入った説明は省くことにする。

さて、自然の風土にのっとって居住地域が形成され、もろもろの社会的な活動が展開される空間となるからには、人工物環境の集約される都市といえども、なんらかのかたちで自然の影響を受けざるをえない。