2015年2月12日木曜日

国家統制的な計画経済

中国は国家統制的な計画経済に則っており、製品が売れても売れなくても、国営企業において、計画通りに製品を製造し続けてきた。だから売れ残った製品が国営企業の倉庫に山積みとなって放置されるという情景が全国的に見られた。それでも国が面倒を見てくれるから、気にしない。それを抑制して、社会主義体制の枠組みの中ではあるものの、基本的に庶民のニーズと購買欲の動向が経済の方向性を決めていくという、市場経済化の方向に切り替えたのだ。そして戸惑っている人民に「白猫でも黒猫でも、ネズミを捕る猫が良い猫だ」という思想に基づいた「先富論」の号令を掛ける。

白猫とか黒猫というのは、何を意味しているかというと、「あなたが走資派であろうとなかろうと、革命思想に燃えた分子であろうとなかろうと」ということを指し、「金儲けに走っても罰せられませんよ」「それよりも、あなたは率先して金持ちになりなさい。それが祖国を救うことになるのだから」と勇気づけた。

毛沢東時代に、「上からの命令があれば従順に従う」という習性を身につけた人民は、「国家が許したのだ」ということを実感するようになり、金に向かって突進することになったのである。新中国(中華人民共和国)が誕生して間もない一九五六年、毛沢東は「百花斉放、百家争鳴」を打ち出して、「言いたいことは何でも言いなさい。政府の批判でも党の批判でもいい」と全人民に奨励したことがあった。毛沢東を信じていた人民は、知識人を中心として喜んでさまざまな意見を自由に書いて政府に提出した。

ところがその翌年の五七年。批判的な意見を書いた者たちを「右派」と決め付け、一網打尽にして逮捕し、牢獄にぶち込んでしまったことがある。これを「反右派闘争」あるいは「五七運動」と言うが、そのせいぺ前述した「大躍進」のときも、知識人たちは科学的分析や批判をする代わりに沈黙を選んだ。それでもなお、文化大革命により知識人はさらに執拗に痛めつけられている。