2015年11月12日木曜日

買い物や観光目的

減少傾向の航空機と対照的に、利用者が増えているのが高速バスだ。「昨年末あたりから、ビジネス客の利用者が増え始めました」と話すのは、東京や大阪などの都市圏に向け高速バスも運行する伊予鉄道(松山市)の担当者。バス利用の主力は里帰りの学生や観光客ではあるが、昨年末以降、東京、大阪の利用状況は大きく上向き、増便対応を取る機会が多くなった。

なかでも比較的距離が短い大阪については、交通機関同士の競争は激烈だ。松山から大阪までの運賃を比較すると、航空機が正規の往復で約3万円なのに対し、バスは約1万2000円と半額以下。また、JR四国は岡山までの特急と新幹線をセットにした「阪神往復フリーきっぷ」で対抗し、有効期間によるが往復で1万6~7000円。

時間では航空機が有利だが、割安な運賃などを勘案すると利用目的ではバスや鉄道の利点も多い。業界関係者は「ビジネス客は、出張などで移動経費が抑制されるとどうしても航空機から、バスや鉄道にシフトする傾向が顕著」と話す。

利用が伸び悩むなか、円高・ウォン安の影響で、昨年末からソウル便の搭乗率が急上昇中だ。ソウルへは韓国のアシアナ航空が週に6便運航しているが、昨年末まで40~60%で推移していた搭乗率は今年2月は84・3%を記録。同社によると7~8割の乗客が女性といい、ほとんどが買い物や観光目的という。

3月中旬にソウルから帰国した女性会社員(34)は「好きなブランド品を安く手に入れるには今しかないと思って旅行に出かけました」と話す。各旅行会社は次々と韓国への旅行商品を販売しており、同社の担当者も「1~2月の閑散期に多くの利用があるのはありがたい限り」と打ち明けた。

松山空港利用促進協の関係者は「国内、また本県の経済のためには、日本人が海外へ出かけるのではなく、韓国など海外から客を呼ぶことが本来的に重要」と複雑な表情を見せていた。