2012年6月7日木曜日

欧米金融機関の高額報酬の抑制策

日米欧に中国やインドなど新興国を加えた主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議は4日夜(日本時間5日未明)開幕した。夕食会では、国際通貨基金(IMF)改革などを討議、主要新興国は発言権の大幅拡大を求めたうえで、G20の役割強化の必要性を強調。国際的な協議の場が主要8カ国(G8)からG20に移る流れが一層鮮明になった。

開幕に先立ち、中国、ロシア、ブラジル、インドの主要新興4カ国(BRICs)は独自に会合を開催。声明で「(金融危機で)新興国は、世界経済が需要や流動性の悪化の衝撃を吸収するのを助け、多くの国がすでに成長軌道に戻った」とし、「G20は協議や決定のための効率的な仕組みとして確立しつつある」とG20体制の重要性を強調した。また、先進国の金融規制の取り組みが「甘い規制や監督体制に舞い戻らないことを期待する」とけん制した。会合にはガイトナー米財務長官も出席した。

夕食会で、4カ国はIMFで主要新興国が発言権を7%、世界銀行についても6%それぞれ拡大するよう求めた。IMFの次期専務理事や世銀総裁の選出も「国籍や地域にかかわらず、開かれた選挙」で行うことを要求。

危機再発防止の一環。資本の強化は欧州連合(EU)や新興国などの追加拠出でメドがつき、新興国の発言権を高めるための出資割合の見直しが課題だ。24日に米ピッツバーグで開幕する第3回緊急首脳会議(金融サミット)で具体策を模索する見通しだ。

G20の財務相・中央銀行総裁会議は、緊急時の金融・経済政策から平時に戻す「出口戦略」や、金融機関の自己資本比率の強化、欧米金融機関の高額報酬の抑制策などが主要議題。5日夕(日本時間6日未明)に共同声明を発表して閉幕する。

2012年6月1日金曜日

景気の本格回復は難しい

米労働省が4日発表した8月の雇用統計は、失業率が9.7%と0.3ポイント上昇し、26年2カ月ぶりの水準まで悪化するなど雇用情勢の厳しさを改めて浮き彫りにした。

景気動向を敏感に反映するといわれる非農業部門の就業者数は減少幅を縮小するなど明るい兆しも見られるが、失業率10%の大台突破が目前に迫っており、米景気の先行きへの懸念は再び高まりそうだ。

就業者数の内訳を見ると、個人消費の低迷を受けてサービス部門全体で計8万人減と落ち込んだほか、自動車大手の経営破綻(はたん)の影響などで、製造業が6万3000人減と不振だった。住宅市場の底打ち観測にもかかわらず、建設部門も6万5000人減と低迷した。

米国では、雇用の悪化に歯止めがかからなければ個人消費も伸びず、景気の本格回復は難しい。実際、米小売売上高は7月に0.1%減と3カ月ぶりに減少した。米国は年間1%超もの人口増があり、小売売上高の減少は数字以上の消費落ち込みを示している。

米連邦準備制度理事会(FRB)が「景気見通しの下向きリスクは大きく後退した」と表明した。しかし、「雇用情勢の改善が明確にならない限り、景気の本格回復は期待できない」(米エコノミスト)との指摘もあり、米景気の先行きには依然として不安が残されたままだ。

米雇用統計:8月の失業率は9.7% 7月から大幅悪化米消費支出:7月0.2%増、車購入支援で3カ月連続増米GDP:年率換算マイナス1.0% 4~6月改定値米新築住宅販売:4カ月連続で増加、底打ち印象づけ7月NY株:年初来高値を更新、終値9539ドル