2014年6月23日月曜日

国際交流は人間の尊厳を抜きにしては考えられない

発足以来今年三月までの四年間に約六百人のアジアを中心にした外国人女性を受け入れたが、トップはタイ女性、次いでフィリピン女性で、その両国で九割を占める。彼女たちの救援だけでなく、問題を広く社会に訴えかけるために、弁護士団体に「来日アジア女性の人権救済申立て」をするなどの活動もしている。婦人矯風会はキリスト教の女性団体だが。売買春と闘った百年の歴史を踏まえて、売春に組み込まれた女性を救うといった慈善的な姿勢を克服しつつ、彼女たちと同じ地平で人権を守る立場を貫こうしている。

名古屋ではカトリック教会をバックに「あるすの会」(滞日アジア労働者と共に生きる会)が八七年に発足し、男女出稼ぎ労働者だけでなく国際結婚をしたアジア人の救援活動にも取り組んでいる。特に四人のフィリピン女性が名古屋のスナック「ラパーン」で鉄格子の檻の中に監禁され、従業員にレイプされて売春を強いられたラパーン事件では、被害女性たちが加害者の経営者や従業員男性を告訴するのを支援し、懲役刑などかなり重い刑の上に、人権問題にもふれる厳しい判決を出させた。

「出稼ぎに来る人たちを本気になって受け入れるということがわれわれに今問われている。これまでの輸出型の援助とはまったく違った発想が必要だ。出稼ぎに来る人たちを通して、日常的な民際の交流ができれば、それは今までになかった国際交流になる。国際交流は人間の尊厳を抜きにしては考えられない。それがあって初めて連帯が意識できる。もし本気になってこの交流に取り組むのであれば、日本という国とアジアの国々についてもっと見えてくると思う」-会代表の狩浦正義神父は、国外での援助活動とは違う国内での日常的なアジアの人々との関わり方を的確に示唆している(同会のミニコミ『まいぐらんと』より)。

主として男性出稼ぎ労働者のための支援組織として、横浜、寿町の寿日雇労働組合が中心になって、八七年に「カラバオの会」(寿外国人出稼ぎ労働者と連帯する会)が結成された。労働者たちが仕事の現場でフィリピン人労働者と出会うようになったからで、賃金不払いや労働災害、暴力団による不法就労の弱みにつけこんだ人権侵害などに対して、体を張った救援活動に打ち込んでいる。アジア人出稼ぎ労働者の人権を守るには、彼らの滞在、就労を合法化することがまず先決だと、カラバオの会は他の救援団体に先駆けて、単純労働者も含めた外国人出稼ぎ労働者の合法化キャンペーンを始めた。結成一周年記念集会も「外国人出稼ぎ労働者の合法化に向けて」と銘打ったものだった。

2014年6月9日月曜日

高脂血症の危険因子

中性脂肪もコレステロールと同様に食事から取り入れられるものだけではなく、肝臓でもつくられます。その大部分は筋肉や心臓でのエネルギー源として使用されます。そして余ったものか、皮下脂肪のかたちで蓄えられます。リン脂質とは、血清脂質のうちリンを含む成分のことですが、細胞膜と血液中に多く合まれています。この成分も細胞膜をつくる際に欠かせない重要な成分です。遊離脂肪酸は中性脂肪が分解した時につくられ、ほとんどがエネルギー源として使われます。

高脂血症の実際の診断には総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の三者がもっぱら用いられています。これまで日本では、一九八七年度日本動脈硬化学会で示された血清総コレステロール値二二〇以上、中性脂肪値一五〇以上、HDLコレステロール値四〇以下を基準値として高脂血症治療が行われてきました。

しかし、高脂血症はあくまで数ある危険因子の一つとして捉えられるべきで、同時に存在する肥満、糖尿病。高血圧などの虚血性心臓病危険囚子を考慮した指針が必要です。一九九六年、危険因子の重要性を踏まえた新しい診断基準および治療目標か日本動脈硬化学会において公表されました。

高脂血症かどうかの判断には採血の条件が重要です。よく見られるのが食後の中性脂肪値の上昇です。空腹時の中性脂肪値が正常な場合には、食後六時間以内に元の値に戻りますが中性脂肪値が高い場合には回復が遅れます。中性脂肪値が高くても総コレステロール値には大きな変動は見られませんが、HDLコレステロールはわずかに低下します。したがって、総コレステロール値の評価は食後でもかまいませんが、中性脂肪値の評価には一二時間絶食で前日禁酒が原則です。中性脂肪値増加例では、それが守られたか確認する必要があります。

中性脂肪値が三〇〇未満の場合はLDL(いわゆる悪玉)コレステロールの値を総コレステロールーHDLコレステロールー中性脂肪という式で算出することができますが、あくまでも参考値にすぎません。中性脂肪値が三〇〇を超える場合には、この式が使えなくなり、LDLコレステロールを直接測定する必要があります。しかしLDLコレステロールの測定装置かまだ普及しておらず、検査センターに測定を依頼しているのが実情です。近い将来には、一般病院でも総コレステロールではなくLDLコレステロールを測定するようになることは間違いなさそうです。