2012年4月19日木曜日

小泉なきチルドレン、元「刺客」に逆風

「自民党は今、大変な逆風。私たち若手は党内を立て直そうと戦っています」 20日午後、東京都世田谷区の駒沢大学前。佐藤ゆかりがかれた声を張り上げた。

応援の参院議員・山本一太から「小泉チルドレンの中でピカイチ」と持ち上げられたが、自身の演説では小泉改革には触れなかった。「小泉改革をやり玉にあげる民主のペースに乗せられたくないから」。陣営幹部は理由をそう話す。

4年前の郵政選挙で消費者相・野田聖子への「刺客」として岐阜1区に出馬した佐藤は比例復活で初当選。昨年2月、東京5区への「国替え」が決まった。

「5区で私は新人」。佐藤のその言葉を陣営幹部も痛感する出来事が17日の決起大会であった。佐藤が「師」と仰ぐ元首相の小泉が応援に駆けつけ、その演説に聴衆が沸いた後。多くの人が佐藤に対し、珍しそうにケータイのカメラを向けた。「初めてじかに佐藤を見た、という人も多かったようだ」と陣営幹部。佐藤は翌日、演説や集会中心だった活動を、狭い路地まで入り込む「どぶ板」に切り替えた。

「(格差という)ひずみが生じたのは改革を途中でやめたから」。取材にそう語る佐藤だが、演説ではそれを封印し、どぶ板を踏む。民主の手塚仁雄は駅立ちで攻める。19日は世田谷区の等々力駅前でひたすらビラを配り、頭を下げた。

手塚は18日の演説で「(敗れた)前回衆院選は小泉元首相と戦っている気がした」と語った。しかし、他の民主候補が指摘する「小泉改革による格差拡大」に演説で触れることはない。「今更、自民の過去の政治を批判しても仕方ない。民主が与党になり何をするのかを知ってもらうことに意味がある」。4年前とは立場がすっかり逆転している。

「大変な逆風。どうか私を助けて下さい」。18日午前、浜松市での出陣式。片山さつきは悲壮な表情で訴え、深々と頭を下げた。

片山は4年前、「郵政造反組」の城内実への「刺客」として財務官僚から転身し、静岡7区で初当選。立て板に水の物言いが反発を買うこともあったが、昨年、浜松に自宅兼事務所を買い、最近は法被姿で夏祭りをはしごするなど地元密着をアピールする。陣営幹部は「4年前は風で当選した。この1年でどぶ板を身に着けたが、慣れないから焦っていると思う」と明かす。

今月15日には小泉の応援も受けた片山。「郵政を国営に戻そうとする勢力には負けられない」。18日の出陣式では必死の形相で改革路線の継承を唱えた。

城内は18日の出陣式で「4年間、隅々まで歩き、地域の声を聞いた。おかしくなった日本を正しい元の姿に戻したい」と訴えた。徹底したどぶ板は、靴下にすぐ穴が開き、1か月でズボンのすそがすり切れるほど。「一貫して小泉構造改革の問題点を訴えてきた。それは誰もが認めてくれる」と自信をのぞかせる。因縁の2人の対決に加わったのが民主の斉木武志だ。18日の出陣式では「ハコモノなどに偏っていた税の無駄遣いをなくし、子育て支援や年金立て直しなど、暮らしのために使おう」と政権獲得を意識した訴えを展開した。

2012年4月15日日曜日

バラエティー番組は今後どうなる?

島田紳助突然の引退により、紳助がメーンMCを務める多くの番組が急きょ、放送予定の番組の差し替えや、MCを変更しての継続を発表するなど対応に追われた。

秋の改編時期も間近に迫る時期だけに、そのバタバタ感は相当なものがあるかと思われるが、新しい番組を立ち上げるときには、通常どのぐらい前から準備に入るものなのだろうか。あるテレビ関係者は言う。

「もちろん、ドラマ、バラエティー、報道系でも違いますし、ケースによってとしか言えないのですが、だいたい何カ月も前から企画は出していきますよね。ドラマなんかは特に、脚本や企画よりも先に出演者を押さえたりする場合もありますね。たとえばNHKの大河や朝ドラなんかでも、主演とテーマは相当前に発表されますよね」

8月下旬現在、ある放送作家は、年末年始の特番向けの準備に追われているという。

「年末年始のものは、局によって、時期に関しては、他の時期より少し早めに動き出す傾向はあります。動き出す時期によって、深夜番組だったりでも違ってきますし、それぞれとしか言いようがないのですが、発表されてなくてもだいたい何カ月か前から進んでいることが多いですね」

そういう事情からも、今回の紳助引退による急な変更は、異例中の異例の出来事と言える。

「その通りですね。まったく何も用意していないところで急に引退というわけですからね。準備期間だけの話だけではなく、新しいものを急にやれと言われても、収録や編集する時間も必要ですし、秋の改編直前という時期ですし、本当に難しいです」

今回の紳助の件に限らず、低視聴率や不祥事などを理由に打ち切りとなる番組の後番組にも、同様のことが言える。前出の作家は続ける。

「次の改編時期まで、特番や別番組で『つなぐ』ということが多いですね。打ち切りの場合には、もう少し前から新番組の準備に動いていますので、そのスタート予定の改編の時期までつなぐ感じですね」

紳助の番組は人気番組が多いだけに、まったく違う番組にした場合、これまでの視聴者が一気に離れてしまうというリスクが予想される。

「これまで見ていた層をそのまま引っ張ることができて、内容も新しい番組をイチから考えるというのは相当厳しいですね。そうなると、内容をあまりいじらずに司会者を交替してという判断をした番組が多いのは、妥当なところじゃないかと思います」

新たなセットの制作はじめ、新番組を立ち上げるには立ち上げの予算も相当かかる。内容を詰めたり、出演者やスポンサーとの交渉など、やはり新番組には、ある程度の準備期間は必要になってくる。手間や予算をかけて失敗するよりは、多少視聴率が下がるようなことがあっても続行したほうがリスクは少ないといえる。

そういう意味では今回、司会者を交替させて番組続行という判断をした番組が多いことに納得がいく。紳助抜きの人気番組の数々、この先も変わらず人気を保つことができるものは、いくつあるだろうか。

2012年4月8日日曜日

「独り勝ち」警戒されて野党共闘、民主が腐心

読売新聞社の序盤情勢調査をはじめ、民主党圧勝の予測が飛び交う中、民主党は衆院選後の連立政権を組む相手と想定する社民、国民新の両党の応援に力を入れている。

参院では単独で過半数がないためだが、民主党の「独り勝ち」の見通しが強まっていることに、野党内の不協和音も出始めている。

民主党の鳩山代表は21日、国民新党の松下忠洋・元衆院議員の応援のため訪れた鹿児島県日置市の街頭で、こう訴えた。

「松下候補の応援に民主党代表が来たということは、とりもなおさず、政権交代にこの人が不可欠だからだ。民主党の候補と同じように考えさせてもらいながら、全力で支援する」

前日には島根県出雲市で国民新党の亀井久興幹事長の応援に立ったばかり。民主党の選挙を仕切る小沢代表代行も19日に社民党候補の激励のため福岡県行橋市を訪ねている。

民主党の岡田幹事長は21日、京都市内で記者団に「選挙協力している選挙区については、支援していきたい」と強調した。岡田氏も近く、社民党の辻元清美・前衆院議員の応援に駆けつける考えだ。

共闘を約束しているとはいえ、民主党が社民、国民新両党への気遣いを改めて示すのは、「民主圧勝ムードを受けた他党の不満を和らげた方がいい」(民主党関係者)との判断も働いているようだ。

しかし、他の野党はむしろ、警戒感を強めている。民主党が政権公約(マニフェスト)で掲げ、社民党などが反対している「衆院比例定数の80削減」が、民主党圧勝によって実現してしまうのではないかとの見方が出ているからだ。

社民党の福島党首は21日、新潟市で記者会見し、「国会議員が減って大笑いするのは役所ではないか」とけん制。民主・社民・国民新3党の共闘とは距離を置く共産党の志位委員長は21日、東京・有楽町の外国特派員協会での講演で「削減は民主主義への逆行だ」と訴えた。